前回は消防団との連携についての話をしました。今回は新型コロナ感染を恐れ、妊婦健診があるけど本島へいきたくない!という妊婦さん達にどのように対応していったかを話したいと思います。
南大東島の妊婦さん
南大東島には通年、妊婦さんが10名前後います。基本的に妊婦健診は本島で行っており、村の少子化対策として妊婦健診の際にかかる渡航費は村が全額負担してくれます。診療所で妊婦健診を受ける人は時々いて、年に1-2人程度でした。また、飛行機は妊娠35週以降に搭乗ができないため、それまでには本島へ渡らなければならないというのも離島における妊婦さんの特徴です。しかし、新型コロナの流行により、妊婦さんたちが本島へ渡る事に不安があり、診療所での妊婦健診の希望者が一気に増えました。
不安を抱えながらの妊婦健診
私自身、島医者にとって産婦人科領域を診れるかどうかは大事なことと考えており、研修中から他の同期よりも長い期間産婦人科を選択していました。さらに、緊急的な分娩は取れるように講習(BLSO/ALSO合格)も受け、ある程度はこの領域を見れるスキルはありましたが、本格的な妊婦健診はもちろん初めてでした。
コロナ感染が不安なのはわかりますが、患者さんが診療所で妊婦健診を受けることでそれがデメリットになっては全く意味がありません。この時も、私の研修病院の産婦人科専門医と協力しながら行うこととしました。そして、産婦人科医のアドバイスを参考に以下のルールを決めました。
①かかりつけの病院に診療所で妊婦健診をしていいかを確認する(HighRiskの妊婦でないか確認する)
②紹介状を作成して(注意点を教えて)もらい、それに対して返書をする(こちらの検査データを情報提供する)
③不明な点は一旦専門医に相談し、必要によってはすぐに本島へ行ってもらう
このルールをもとに4-5名の妊婦さんに対して妊婦健診を行いました。その中でハイリスクな妊婦さんもいたため、その方は本島へ行ってもらい、きちんと産婦人科医に妊婦健診をしてもらいました。その子たちは無事に産まれ、南大東へ帰ってくることができました。
このように専門医と連携しながら、適切に評価をし、お母さんと赤ちゃんに不利益が出ないように何とか乗り越えることができました。
次回、少し真面目な話からは外れてしまいますが、2020.4.28、私の誕生日に起きた出来事を話したいと思います。