島医者の離島日記 〜"あの先生"であったこと〜

島医者の経験をもとに家庭医療学を広めたい

〜第1章〜 2020.4 -未知のウイルスとの闘い- 離島診療所でのコロナ対策

前回は日記から外れて私がなぜ家庭医を目指し、沖縄へ渡ったか、について書きました。今回からまた日記に戻りたいと思います。

 

2020.4.3、さっそく村長にコロナ対策本部の会議に呼ばれ、医師としての意見を求められました。感染症の専門知識も豊富ではなく、未知のウイルスへの対策のため、かなり困惑しながら参加したことを覚えています。誤った情報を伝えないように、知っている範囲の知識を振り絞って、なんとか会議を乗り切りました。

その後、診療所としてどのようにコロナ対策を行うかを考えました。

新型コロナ診療所マニュアルの作成

まず、診療所のコロナ対策を診療所メンバーと共有するためにもマニュアルを作成することにしました。このマニュアルを作る上で、元々私が所属していた感染症内科の先生に添削をしてもらいながら完成させていきました。

ここで大事だと感じたことは、専門医の先生とコネクションを作っておくことの大切さを感じました。離島に1人で赴任するために訓練してきたとはいえ、全てを完璧に網羅することは不可能です。そこで、私は本島で研修をしている時から、各診療科の専門医と相談できる関係になっておくことを意識していました。各科に相談できる専門医がいることは、自分のためだけでなく、患者はもちろん、島民のためにもなっていることを実感しました。

謎のポーズ(左) この時はまだ南大東でコロナと遭遇するとは思ってもいなかった
マスキングテープでゾーンニング(右)

情報収集

そして、一番重要だったことが情報収集です。未知のウイルスの実態は日々更新されていたため、適切な情報を素早く収集しなければなりませんでした。そこで活用したのがTwitter、Facebookでした。SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)はさまざまな情報が流れており、中には間違った情報も混在します。しかし、離島というへき地にいる上で、SNSを上手に活用することは必須のスキルだったように思います。情報収集する上で意識していたことは、情報を発信している人の信頼性と、情報内容の発信元を確認すること、でした。人の信頼性は知っている先生を中心にフォローしましたが、有名な先生の中にも誤った情報を発信している方も少なくはありません。発信している内容元が特定できないものはシャットアウトしていました。逆に匿名であってもしっかりとした論文(いわゆるエビデンス)を参照している情報などは活用していました。

南大東診療所マニュアル 何回も何回も改定しました。。。

 

次回は、離島特有の"消防団"との連携について話します。