島医者の離島日記 〜"あの先生"であったこと〜

島医者の経験をもとに都市部の医療と比較

〜第1章〜 2020.6 -離島のネットショッピング-

前回までは、心肺蘇生後搬送できずに一晩を乗り切った事例について話しました。今回は離島でのネットショッピングに関してをお話ししたいと思います。

以前の記事(〜第1章〜 2020.3 -島民になるということ- - 島医者の離島日記 〜"あの先生"であったこと〜)でもお話ししましたが、離島では食料をはじめ、荷物の輸送は基本的に船によって行われています。

天候によって運命が変わる

南大東島でもAmazonを使ってネットショッピングはできますが、注文をしてから配達されるまでの時間が予測できません。搬送だけでなく、ネットショッピングも天候によって運命が変わります。赴任当初、テレビを購入するのは生活が落ち着いてからで良いと考え、テレビを見ない生活をしていました。しかし、テレビがないと情報が中々入らず、特に新型コロナの情報は常に意識しなければならないため、テレビを購入することとしました。

5月中旬にAmazonでテレビを注文しましたが、注文した時には1週間程で到着する予定となっていました。しかし、天候不良などで週1回来るはずの船が来れなくなり、結局、注文から3週間後に届きました。

待ちに待って届いたテレビ

ちなみに、現在住んでいる東京で同じテレビを注文すると2日後には届くようです。笑

また、節税のためにふるさと納税に挑戦しようと、Youtubeを見て仕組みを勉強し、お礼品を探し始めました。しかし、ふるさと納税でも離島ということが影響し、「離島対象外」といものが多く、"お礼品"選びに苦戦しました。

離島でしか味わえない"お礼品"

ふるさと納税のサイトで人気ランキング上位に位置している"お礼品"は軒並み「離島対象外」となっており、欲しいものが選べないもどかしさを感じていました。しかし、離島ではおじぃ、おばぁからの"お礼品"が届きます。これらは突如としてやってきます。この日も夜に突然インターホンがなり、出てみるとおばぁが煮豚と島らっきょを食べなさいと一人分とは思えない量を持ってきてくれました。

ふるさと納税では、離島は対象外ですが、そこでしか味わえない"お礼品"で元気づけられながら、島医者生活を送るのでした。

おばぁのラフティと島らっきょ

また、プライベートでは、ある作戦を計画し、婚約者(現 妻)との入籍をすすめるべく、証人として両親の署名をもらうために婚姻届のリレーが始まりました。婚約者が住んでいる福岡→婚約者の実家(神奈川)→私の実家(東京)→南大東へと長い旅路となり、無事に戻ってくることを祈っていました。

離島では流通の不便さがあるものの、離島でしか味わえない"お礼品"の温かみを感じました。物がすぐに届かないことで、そのものの価値を改めて感じ、身近なところには、実はもっと大切なものがあるということを再認識しました。

次回は、離島に赴任して初めての終末期の患者を対応することとなりました。離島ならではの終末期について話していきたいと思います。