島医者の離島日記 〜"あの先生"であったこと〜

島医者の経験をもとに家庭医療学を広めたい

〜序章〜 -この島を選んだ理由-

前回までで"南大東島"について簡単に紹介してきました。

今回は沖縄県の数ある離島の中からなぜ、私がなぜ"南大東島を選んだのか"をお話ししていきたいと思います。

 

私は沖縄県立病院郡に所属していたため、沖縄県管轄である16個の離島から選ぶことができました。(以下写真の16離島)

沖縄県病院事業局 ホームページより

それぞれの離島は特徴が違い、そこで求められるスキルも変わってきます。

要素としては、

①人口と住民の年齢層 ②観光客の多さ ③本島(大きい病院)へのアクセス時間

が大きいと考えています。

例えば、観光で有名な八重山(石垣島)圏の診療所(小浜、西表、波照間など)は観光客が多く、津堅島や久高島は本島からのアクセスがよい島です。

 

ところで、私が離島を目指した理由の一つは、"自分を追い込むため"でした。

私は昔から追い込まれないと物事ができないタイプ(学生時代に夏休みの宿題は最後の数日でやっていたタイプ)で、モチベーションを維持しながらきちんと成長し続けていきたいと思い離島に行くことを決意しました。

医師が1人しかいないため"自分がなんとかしなきゃ"という気持ちは頑張るための稼働力でした。

また、本島へのアクセスが良くない離島ほど島医者の実力が試されるため、本島からの距離とプレッシャーは比例していると思います。

 

また、もう一つの理由は、何でも相談できる"あの先生"になることでした。

観光客は一期一会の診療が多く、"あの先生"となることはほとんどありません。

観光客ではなく、その地域に住んでいる住民にとって、何でも相談できる存在でありたかったのです。

赤ちゃんからお年寄りまで、何科に関わらず、まずは自分のところに来てもらう。

このことが"家庭医"の話と繋がってきますが、長くなるのでまた別の記事で書きたいと思います。

 

南大東島は0歳〜100歳まで住んでおり、人口も1000人を超えた(16離島の中で4つのみ)離島です。

また、観光客は少なく、本島からの距離は16離島で一番でした。

南大東島で一番好きなスポット "海軍棒プール"

 

このことから私は南大東島を選びました。

それが後に、いい意味で"自分を追い込み"、私を"あの先生"にしてくれました。

 

次回は離島に赴任した日、そして、赴任してすぐに押し寄せた課題についてを話していきたいと思います。